マジック・ルーム 2

*フレンとユーリ in ハリポタ(親世代)
*ユーリだけ転校生。フレユリ幼馴染。普通に生徒です。
*ハリポタ知らない人には、よく分からないかもしれません。
*シリウスとかジェームズとかリーマス普通に出てきます。




転入性を迎えたグリフィンドール寮の談話室は、普段以上の騒々しさに包まれていた。
新しい仲間が加わった喜びの声もあれば、彼の容姿に頬を染める女子、どんな性格なのかを勝手に想像しては笑い声があがる。
兎にも角にもネタの尽きない生徒たちの声が届かない、談話室からは少し離れたグリフィンドール男子寮の一室に、ユーリは案内されていた。

「ここが、君の部屋になるよ。最初は慣れないと思うから、僕も一緒だから」
「ふーん」
「一ヶ月くらいしたら、僕は元の部屋に戻ると思う」
「そっか。じゃあ、それまでよろしくな」

からりと笑うユーリの首元を彩るグリフィンドールカラーのネクタイに、フレンは目を細めた。

「…なんか文句でもありそうな顔してんな」
「文句と言うか、何故君が此処にいるのか、教えてもらってないと思ってね」

至極当たり前の疑問だと、フレンは思っている。何しろ、マグル(人間)の世界で自分とユーリは幼馴染で、でもフレンだけ魔法が使えた。
普通、魔法が使えるなど気味が悪い事なのだ。それを、子供だったからというのもあるだろうが、ユーリは「すごい」とフレンを讃え、そして魔法が使える事を誇れと言ってくれた。
フレンにとって、ユーリは幼馴染以上に、大事な存在なのだ。
そんなユーリは、フレンとは違い魔法が使えない(使えない事の方が普通だ)。
だから、ホグワーツに入学する必要も必然も無かったし、資格も無かった。
それなのに。

「どうして、君が此処に?」

顔を合わせた時にも、同じ質問をした。その時ユーリはそっと肩を上下させただけだったが、ここには二人しかいない。
じっとユーリを見つめれば、彼はフレンから視線をそらし、少しばかり考えるように窓の外にやった。

「…お前に会いたかった、じゃ、駄目か?」
「…え?」
「理由なんて、大したもんは無い。ただ、お前は夏と冬しか帰ってこないし、久しぶりに会えば此処の話ばっかするからさ。…それに……」

語尾が濁る。話しづらい何かがあるのだろうかとフレンは珍しく歯切れの悪いユーリの言葉を訝しんで、距離を詰めて肩に手を置く。

「何か、あったのか?」
「…いや、何もないよ。ほら、早く行こうぜ?お前の友達とか紹介してくれよ」
「ちょ、ユーリ!話をそらさないでちゃんと答えろよ!」
「あーあー初日から小言とかやめてくれよな。俺はフレンに会いたかったの。それだけ!」
「それは嬉しいけど、何か他に理由が…」

がちゃり、とユーリが扉を開ける。
と、その身体が外に出る事はなく、不自然に固まった。
流石にフレンも何だろうと、ユーリの先――扉の向こうを覗くと、茶色い頭が見えて思わずため息をついた。
明らかに盗み聞いていたのだろう、その人物は、フレンにとっては馴染みある、ユーリにとっては怪しい事この上ない満面の笑みを浮かべ、両手を広げた。

「やあユーリ、初めまして!僕はジェームズ・ポッターで、フレンの友達なんだ。よって、君も僕の友達となるべく、早速だけど部屋に上がらせてもらうよ!」

「シリウス、リーマス!おいでよ!」と勝手に進められる展開に、ユーリは目を白黒させながら後ろのフレンを振り返った。
どうしたらいいんだこの状況、とあからさまに困り果てるユーリがなんだか可笑しくて、とりあえず手招きして部屋の中に戻す。

「ジェームズ。盗み聞きとは人が悪いね」
「何を言ってるんだいリーマス。フレンがそんな事で怒るわけないだろう」
「いや、十分怒ると思うけどな」
「シリウス、君も同罪だよ」

そんな会話をしつつ部屋の中に入ってきたのは、やたらと美系な二人組。
どうやら三人ともフレンの友達らしいとユーリが判断すると、部屋の中にいる人物を見比べて心の中で呟く。
恐ろしく美男子ばかりが揃ってないか、と。
そしてそんなユーリの予想は正しく、間違いなく美男子ばかりが揃っていたのである。もちろんユーリを含めて、だが。

「初めまして!もう一回言うけど、僕はジェームズ。ホグワーツ一の秀才だから、そこのところよろしくね」
「自分で言うかそれ。あ、俺はシリウス・ブラックだ。シリウスって呼んでくれ」
「僕はリーマス・ルーピン。一応フレンと同じ監督生だから、何か分からない事があったら聞いてね」

かんとくせい?とユーリが首をかしげると、

「簡単に言えば、寮のまとめ役だよ」
「成績優秀で、先生の覚えめでたい真面目な生徒に命じられる役割だね」
「ジェームズ…喧嘩売ってる?」

話が途切れる事を知らないようにテンポよくしゃべる彼らに圧倒されつつ、ユーリはフレンに促され口を開いた。

「ユーリ・ローウェルだ。よろしくな」

手を差し出せば、ジェームズが人懐こい笑みを浮かべて握り返す。
続いてリーマス、シリウスとも握手を交わすと、ふとユーリの視線がシリウスに留まった。

「ん?」
「いや、なんつーか…聞いてた印象と大分違うなって」
「俺の事知ってんのか?」
「あ、いや、直接会った事はないと思うぜ?」

そう言いながら手を離すと、そう言えばとユーリはフレンに向かって、

「お前、監督生ってやつなんだな…うん、良く似合ってる」
「…それはどういう意味か聞いていいかい?」
「お堅い真面目な優等生なんて言葉ほど、フレンを形容するものは無いんじゃないかと思ってさ」

「―――ユーリ!!」
「あはは!ユーリ、君、面白いね!」

顔を赤くして怒鳴るフレンに対し、ジェームズとシリウスはげらげらとお腹を抱えて笑いだした。
そんな四人を呆れ顔で眺めるリーマスが、これは面白くなりそうだなぁ、などと一番腹黒い事を考えていたのは、本人しか知らない事である。