許婚同士
幼い頃に出会って、その瞬間から一目惚れして。
誰よりも繋がっていたいと心に決めて、ずっと友人として傍にいて。
大きくなるにつれ、お互いの性別を意識したり行動を共にする回数も減ってきて。
それでも一緒に居たいと、切望してきた大事な大事な人。
親同士が仲が良い事もあったし、同じ歳で同じ学校に通い、家族同然に付き合いをして。
幼い恋心は、いつしか彼女の全てを包み込みたいという欲望に変わり、今はもう彼女を大切にして自分にだけその目を向けてほしい。
本当に本当に、死ぬまで共に居たい。
隣で眠る彼女の髪を梳きながら、フレンはそんなことを思っていた。
月明かりがこぼれる窓から、一番遠くに位置するベッド。
シーツに包まる大事な大事な許嫁であるユーリを、更に優しく包むようにフレンの腕が首に回って、滑らかなユーリの髪にずっと指を絡ませている。
情事の間は汗ばんで、涙に濡れていた頬も、綺麗に拭いて今は戻った。
甘い声を上げる唇も、潤んで見上げてきた瞳も、今は全て夜の眠りの中だ。
腕の中の存在に愛おしさを覚えずにはいられなくて、寝顔も永遠と見ていたいほどかわいらしくて、フレンは情事が終わった後も起きて見続けている。
綺麗だなぁ、と何度も同じ感想をこぼしてしまうのは、何度だって同じように思うから。
いつもは男勝りで強気な彼女が、フレンを抱きしめて離さなかったり、快楽に酔って体を震わせる様は、加虐心は煽られるしもっともっととがっついてしまうし、本当に虜にされていると実感する。
そんな事をつらつらと考えていると、ふとユーリと目があって、驚いて髪を梳いていた手が止まる。
「…ユーリ?」
寝てていいんだよ?と問えば、見上げてくる彼女の瞳は透明で透き通るような深く濃い黒で、まるですべてが見透かされているような錯覚に陥る。
(――変なこと考えただろう、とか言われるかも。)
「ユーリ」
しかし予想に反して、ユーリは右手を挙げるとフレンの髪にそっと手を差し入れた。
ユーリの細い指先に地肌をくすぐられているような感覚。
何かと問えば、何でもないと首を横に振られた。
そして、そっとフレンの耳元で呟く。
お前の指ってすごく気持ちいい、と。
既に収まっていたはずの熱がまたぐるぐると渦巻いて登ってきそうな気がして、
でもそれは流石に男として我慢すべきだとぐっと腹に力を入れる。
ユーリはそれすらも楽しむように笑って、フレンの頭を撫で続けている。
「…フレン」
「ん?」
「だいすき」
とろりと微睡むような笑みの中で、あまりにも魅惑的な声で言うものだから。
フレンは後頭部に手をやって、ぐっと自分の方にユーリを引き寄せた。
啄むようにキスを降らせて、おでこ、鼻、頬、口、瞼、余すところなく堪能する。
「…もう、本当に君は」
「フレン」
「大すきだよ、ユーリ」
最後に、細い体を優しく抱きしめた。