幸せを覚えてる
*フレユリinギアス(スザルル)
*ブリタニア皇族ユーリ、騎士フレン。主従関係。
*ユーリ・フレン(21歳)、ルルーシュ・スザク(19歳)なので、ユーリの方が皇位継承権が上です。
*ここまで読んでなんのこっちゃいと思った人は、まわれ右!
*ほのぼのしてます。
*ナナリーは目が見えています。アリエス宮事件はありましたが、スザクは実力でルルーシュの騎士になり、二人は主従関係。そんな設定。
この場所は、いつ来ても暖かさに満ちている。
そんな事を思いながら、フレンは目の前を歩く主の後ろに控えていた。
この場に必要ないとは思ったが、万が一の事を考えて帯刀はしている。
過去に、一度だけ。この光溢れる場所が、血に染まった事があるから。
花々に左右を囲まれた道は、大理石でできている。
最高峰の職人たちによって最高の手入れをされているこの庭園は、王宮の中でも群を抜いて美しいと思ってはいるが、
此処の主はそういう事を吹聴するのを嫌うため、足を踏み入れる人は数少ない。
よく来る人物としては、ユーフェミア皇女殿下と、クロヴィス皇子殿下だろうか。この前フレンが来た時には、先客でシュナイゼル皇子殿下が訪れていた。
此処の主は、上位の皇族に目をかけられている。
それは、彼の人の政治的手腕、繊細な華美を解する情緒、豊富な知識とそれを最大限活かす事のできる頭脳を求めているからだ。
つまりは、有能で優秀な人物なのである。
逆に、それを良く思わない人物も多い。
此処の主も相当の美しさだが、目の前に居る人も十分に整った顔をしている。
黒く長い髪を一纏めにして上質な布で縛り、耳の前に垂れた髪には透き通った青い髪留めが留まっている主。
もちろん本人達に言ったら眉を寄せて嫌そうな顔をされるが。
「何がそんなにおかしーんだよ」
いつの間に振り返っていたのか、フレンの主は訝しげな顔をして腰に手を当てていた。
フレンは揺れる青の装飾の美しさに目を細め、そして笑った。
「ううん。いつ来ても美しい庭園だと思って」
「ま、確かにな。でも笑ってた理由は違うだろ?」
「大した理由じゃないよ。ほら、ルルーシュ様を待たせたら怒られてしまう」
「いや、怒る理由は『ナナリーを待たせた』だろ」
違いない、と苦笑して再び歩き始める。
「…ユーリ殿」
「やめろ気持ち悪い」
「まだ殿下って言ってないじゃないか」
嫌そうな顔をしてフレンを一瞥すると、ユーリは前を歩いていた足を一度止め、フレンと並んだ。
他の皇族に見られたら、まず有り得ないと騒がれる位置。
「俺は。敬称付けされるのが。嫌いだ」
「知ってるけど…いい加減慣れなよ」
「お前に付けられるのはもっと嫌だ」
「うん、だからね…」
「相変わらずですね、兄上」
ユーリより少しだけ高めの、からかいを含んだ声がフレンを遮った。
そちらを向くと、秀麗な顔立ちと瞳が二人を見ている。
いつ見ても美しいアメジストの瞳。親しい者に向ける柔らかい笑み。
「お久しぶりです。今日は来てくださりありがとう御座います」
「ルルーシュ!」
「ルルーシュ殿下」
「お兄様!わざわざ来てくださりありがとうございます!」
「おう。こっちこそ、呼んでもらって悪いな」
「こちらこそ。忙しい時間の合間を縫っていらしてくださったのでしょう?聞きましたよ。エリア15の遠征、指揮を放り出してKMFに乗ったって」
痛い指摘に苦い顔をして、ユーリは「クロヴィスだな」と呟く。
「気持ちはわかりますが、いけませんよ」
「ユーリお兄様は、身体を動かす方が好きですものね」
「そーなんだよナナリー。指揮より自分が動いて引っ張った方が早いと思わないか?」
大真面目らしいユーリに、ナナリーは声をあげて笑い、ルルーシュは呆れたと溜息をついた。
喉を通る紅茶は、ルルーシュが淹れた。当たり前だが、プロ並みの腕だ。
囲むテーブルの上に乗っているお菓子は、半分がユーリ、半分がルルーシュの手作りである。
シェフ泣かせだが、二人とも一般的な皇族とはかけ離れて料理が上手い。
特にこういった甘味類に関しては、ユーリが圧倒的な腕を持っていて、しかも日々磨いている。
その様子を十歩ほど下がった所から眺めつつ、フレンは隣に立つスザクに声をかけた。
「久しぶりだね、スザク」
「お久しぶりです。フレンさん」
フレンはブリタニア国内生まれだが、スザクはエリア出身の名誉ブリタニア人だ。
それをネタにして嫌味を飛ばす輩も腐るほど居るが、フレンはスザクの実力を高く買っているためイレブンだとかにあまり興味がなかった。
フレン自身が高貴な生まれではないし、寧ろその意味は日本の首相子息であるスザクの方が断然高貴な身分と言えよう。
「エリア8の制圧、お疲れ様。相変わらずの戦果だと聞いているよ」
「ルルーシュの作戦通りに動くのが私の役割ですから」
「君が居るからこそ、殿下も思いきった作戦を練る事ができるんだろう」
主から目を離さず、スザクは顔を曇らせた。
「……」
「…“血濡れの皇子”、かな?」
「!?」
驚きに目を見開いて、スザクはフレンを凝視する。
「どうして…」
「この前、偶然耳に入ってね」
「…」
「ユーリも怒っていたよ。『あいつには似合わない』って」
「…やはり、ユーリ殿下は優しい。他の皇族なら、喜んで吹聴するでしょうに」
そっと微笑んで、スザクはユーリを見た。
テーブルについている三人は、ナナリーを中心に話が弾んでいるようだ。
ユーリもルルーシュも黒髪のため、遠目から見れば二人の方が兄弟に見える。
だが、ナナリーを見る目が違う。ルルーシュのそれは、親愛だ。ユーリは、あくまで親友。
それでも、幸せそうに笑う三人を見ているだけで、こっちも幸せになれるようで。
「…ルルーシュの幸せを守る事ができたら、僕はどうなってもいいんです」
「それは違うよ、スザク」
「え?」
「ルルーシュ殿下が聞いたら怒るよ?」
純粋に分からないと読み取って、フレンは首を横に振った。
「ルルーシュ殿下を守るのは当たり前。そして同じように、君は君自身を守らなきゃいけない」
「フレンさん…」
「それを僕に教えてくれたのはユーリだ。多分、ルルーシュ殿下も同じ事を思っているよ」
「……」
「君の幸せは僕にはわからないけど…少なくとも、ルルーシュ殿下の幸せの中には、スザクが必要だと思うから」
「…ありがとう、ございます」
お礼を言われても、とフレンは苦笑してユーリの傍に歩み寄った。
「ルルーシュ殿下。紅茶のお替わりはいりますか?」
「あ、ああ…そうだな。折角だから、フレンも座れ。紅茶は、咲世子さんに頼むから」
「え、ですが…」
「いーじゃん。ルルーシュのお菓子美味しいぜ?」
「なら、スザクさんもご一緒に!」
スザクさん!とナナリーがスザクを呼ぶ。
その隣、ユーリは椅子を引き、ぽんぽんとそこを叩く仕草。「座れ」と目で語られる。
これは断ったら駄目そうだ、なんて冷や汗をかいてしまうが、自分の向かいにはルルーシュに同じ事をされているスザクが焦ったように両手を左右に振っていた。
ユーリの思惑は、自分が座って、スザクを促せという事だろう。
もしかしたら、ナナリーあたりの考えかもしれない。意外と強引な子だ。
困ったように視線を送ってくるスザクに、フレンは「仕方ないよ」と目で語って席に着いた。
満足げにユーリがお菓子の説明をしてくるので、それを聞く。
スザクは中途半端な姿勢のままナナリーに頼みこまれていると同時に、ルルーシュの「さっさと座れ馬鹿」などの暴言を受けている。
ああ、これが幸せだ。
フレンは、それを噛みしめるように胸に刻んだ。
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フレンが中心のフレユリinギアスパロ。
本当は細かい設定が背景にあって、でもそれが出しきれませんでした…。
需要があれば、色々書いていきたいと思います。
もう一つの、TOV世界の皇族とは違い、もっとほのぼのとした、ルルーシュやスザクの悩める青春に助言するお兄さんのような存在として描けたらいいな。なんて。
続き書くかもわからないのに←
すごくノリノリで書いたので、文章が気持ち悪かったらすみません(笑)
ま、所詮自分得ですから!←←