(ユーシスとエリゼ。出会い)
ラウラさんとお友達になって半年程経った頃、ユミルに二人のお客様がいらした。
とても綺麗な金髪で、緑の外套が似合う美しい人。男性の方と、リィン兄様と同じくらいの男の子。
男性の方は、前に父様のお客様としてご挨拶した事があった。
確か、四大名門アルバレア公爵様のご長男で、ルーファス・アルバレア様。
詳しい事は分からなかったけれど、父様はアルバレア公爵様、つまりルーファス様のお父様とは仲があまり宜しくない。けれど、ルーファス様はとても親しくされているみたいで、何日か滞在された時に狩りを教えていた。
男の子は、なんとなくルーファス様に似ていたけれど、全然違う気もする、不思議な人だった。
「リィン、エリゼ、こちらに来なさい」
父様が、私と兄様を呼ぶ。
私は買ってもらったばかりのワンピースを着て、兄様に手を引いてもらいながら父様の下へ歩いた。
淑女たるもの、いつでも背筋を伸ばして優雅であれと、母様もラウラさんも言っていたから、自分にできる精一杯で綺麗で在ろうと思った。
「息子のリィン、娘のエリゼだ。リィンはユーシス君と同学年になるだろうから、よろしくしてやってくれ」
「初めまして、リィン・シュバルツァーです。ルーファス様は、ご無沙汰しています」
「初めまして、エリゼ・シュバルツァーと申します。ルーファス様、ご機嫌麗しく」
兄様に倣って、私もご挨拶をする。
丁寧に頭を下げて、視線を戻すと目の前にはとても美しい男の子が立っていた。
まるで父様の持っている絵画に出てくるような綺麗な人だった。
「弟のユーシスだ。リィン君、エリゼ君、仲良くしてやってくれたまえ」
「ユーシス・アルバレアだ」
はっきりとした綺麗な発音。握手をしている手も、服も、表情も、どこをとっても綺麗な人だと思った。
こんな綺麗な人が世の中にいるんだ、と私は思わず見蕩れてしまう。
「では、ユーシス君は責任を持って預からせてもらおう」
「よろしくお願いします、男爵閣下。ユーシス、粗相の無いように」
父様とルーファス様がお話をされている間、私はずっとユーシスさんの手を握っていたらしい。
無表情だけど、困ったように私を見ているのに気付いて、慌てて手を離した。
「し、失礼しました!」
「おや、エリゼ嬢はユーシスを気に入ってくれたかな?」
母様が私をからかう時と同じ顔をルーファス様がしていて、恥ずかしさのあまり目が潤んできた。たぶん顔も真っ赤になってる。立派な淑女を目指しているのに、最初からやってしまった。
ショックで泣きそうになってしまった私の背を、隣に居た兄様は優しく撫でてくれて、その手の温かさにほっとする。
兄様が大丈夫と言ってくれている気がして、もう一度顔を上げて、ユーシス様に頭を下げる。やっぱり綺麗な人で、自然と顔が赤くなった。
「失礼致しました。どうぞよろしくお願い致します、ユーシス様」
その時のリィン兄様がとてもとても渋い紅茶を飲んだような顔をしていたらしいと父様が後で教えてくれた。